BEYOND LIFE AND DEATH

生死を超える

ボーディサットヴァの覚醒の四つの土台

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「ボーディサットヴァ・スートラ」(p.21)

 

第一部 脳波が明かす瞑想の全プロセス

第一章 条件がすべてを決める

 

◎ボーディサットヴァの覚醒の四つの土台

 では逆に、ボーディサットヴァの根本的な行動原理は、どのようなものであろうか。

これは先程も述べたとおり、聖慈愛・聖哀れみ・聖称賛、そして聖無頓着である。

 

 この「聖慈愛」とは何であろうか。

これは、すべてのものを慈しむ心の働きである。

では「愛著」と「慈しみ」との違いは何であろうか。

それは、「愛著」は自己の心の傾向により、対象に必要以上にとらわれることが原則であるが、しかし、この「聖慈愛」は、一定の法則を土台として慈しむのである。

ではそれは何か。

それは真理、つまりこの宇宙、あるいは宇宙を超越したすべてのエネルギーを有する世界における法則、この法則を土台とし、高い世界や、あるいは滅尽へ向かう魂をよしとし、縁ある魂がこの滅尽や高い世界へ至ろうと努力していることを心から喜び、それらの魂に対して愛を投げかけることなのである。

したがって、「聖慈愛」を土台として行なわれるM・S・Aは、宗教的な愛を増大させることとなる。

この愛の増大は、多くの人からの敬愛を招く結果となるのである。

 

 では、ボーディサットヴァの心の覚醒の土台の二番目である、「聖哀れみ」とは何であろうか。

この「聖哀れみ」とは、自分自身と縁ある魂が、先程も述べた真理の法則に、過去の、あるいは過去世の悪業の結果、あるいは不徳の結果、真理を実践することができず否定する、それゆえに、今現在この人間の世界において苦しんでいる、あるいは未来において苦しむだろう、あるいは死後、必ず苦しみの世界の本質である激苦地獄や動物界や低級霊域等へ転生するだろうことを理解したうえで、その魂に対しての本当の悲しみを有する実践なのである。

――つまり、対象に対して、心から悲しみを有する。

その論理的な根拠がしっかりしているという意味において、大きな悲しみを有するゆえに「大悲」なのである。

したがって、これらの実践を行なうことにより、多くの魂に対して激しいアプローチを行なうかもしれないが、そこで行なわれるM・S・Aの激しいアプローチは、その対象に対する利益を生むことはあったとしても、不利益を生むことはないがゆえに、正当とされ、そして、ボーディサットヴァはまた大きな利益を得るのである。

 

 次に、ボーディサットヴァの心の本質的な覚醒の第三番目の土台は、「聖称賛」である。

この「聖称賛」は、対象となる魂が自分より善行・徳行、そして寂静の修行や法則の実践において優れている場合、その魂を称賛し、称賛することによって自分自身もその道を確定しようとする実践である。

これは、よく考えたらわかることである。

称賛を行なうということは、対象の記憶修習、つまり対象を何度も何度も記憶することを表わしている。

したがって、そのような人の善行の実践をまねたり、徳の修行の実践をまねたり、あるいは寂静の修行や真理の法則の実践をとうぜん同じようにまねるはずである。

したがって、ボーディサットヴァは自分よりも優れたその対象に対して、しっかりと聖称賛の実践を行なうことにより、近づくのである。

 

 そして、第四番目は「聖無頓着」である。

この「聖無頓着」とは、“何をやってもいい”という意味ではない。

聖無頓着とは、先にも述べた三つの実践、つまり聖慈愛・聖哀れみ・聖称賛という三つの偉大な実践が行なわれることによって得られる「喜び」、この「喜び」にとらわれることなく、自分自身のなしてきた過去の、あるいは過去世の、つまり、真理との契約以前の結果としての果報である悪業が現象化したとしても、その現象化した内容に対していっさい頓着しない実践、ということになる。

つまり、心にどれだけ多くの傷を受けたとしても、あるいは言葉によってどれだけ多くの傷を受けたとしても、あるいは実際、肉体的にどれだけ多くの苦痛を受けたとしても、それに対して頓着せず、前に述べた三つの実践をやり続けること、これが「聖無頓着」の実践なのである。

この究極の教えは、「自己の苦しみを喜びとし、他の苦しみを自己の苦しみとする」という言葉によって、よく表わされていると思われる。

ではこの実践によってどうなるのか。

先程述べた聖慈愛・聖哀れみ・聖称賛によって培われる多くの功徳というものが、わたしたちの五つの構成要素(形状-容姿・感覚・表象・経験の構成・識別)に培われるのである。

 

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